- 投稿日:2024年05月09日
- カテゴリ:声を上げよう
AIやデータセンターは人間の脳のようなもので大量のエネルギーを消費します。
ホモサピエンスよりも大きな脳を持っていたネアンデルタール人は、きっといつもお腹を空かしていたのではないでしょうか。
このままではデータセンターにエネルギーを供給するために環境が破壊され、私たちは増々お腹を空かせねばなりません。
貿易立国か食料自給か、大きな岐路
みなさん、日本の食糧自給率はわずか38%です。さらに農業機械を動かすためのエネルギー、家畜のエサ、作物のたね、農薬や肥料、こうしたものの輸入を考慮したならば日本の食糧自給率はわずか10%にすぎません。食べる物を作っていないのに、私たちが食べていけるのはなぜでしょうか。それは日本が車やコンピュータといった工業製品をつくり、貿易黒字により外貨を稼ぐことができたからです。日本はこれまで貿易立国として食糧を輸入し、食べてきました。しかし福島第一原発事故が起きてから13年、日本の貿易収支は赤字となり、ここのところほとんど貿易赤字が続いています。
これまでに稼いだ外貨のおかげで、今しばらくは食べていくことができますが、このまま貿易赤字が続いたならば、これまでに貯えた外貨準備が底をついたとき、私たちは食べていくことができなくなってしまいます。これまで通り貿易立国として生きていくのか、それとも食糧の自給率を高め、食糧を自給して生きていくか。私たちは今、大きな岐路にいます。
今こそ大きく舵を切るとき
日本政府は半導体とAI、そしてミサイル、戦闘機といった軍事産業に巨額の税金を投入し、これまで通り貿易立国として生きていこうとしていますが、私たち緑の党は、そのような国のあり方は環境を破壊し、戦争を拡大し、国を亡ぼすものであると考えます。今こそ、大きく舵を切り、脱原発を実現し、再生可能エネルギーを押し進め、食糧の自給率を高め、平和憲法のもと戦争の原因となるものを一つ一つ取り除くことこそ、私たちが生き残る道です。
食糧とエネルギーの危機が深まっている
この10年で、世界は大きく変わりました。ロシアのウクライナ侵攻は、穀倉地帯であったウクライナの土地を戦場にしてしまいました。イスラエルのガザにおけるパレスチナ人の大量虐殺は中東の緊張を高め、原油価格は高止まり、さらに高騰しようとしています。世界では食糧とエネルギーのインフレが起きているにもかかわらず、日本経済は円安が進み、私たちの暮らしは食糧とエネルギーの高騰に直撃され、苦しくなるばかりです。11年間続いたアベノミクスの金融緩和政策により、日銀は通貨の番人としての役割を果たすことができなくなってしまいました。私たちは今、そのツケを払わされているのです。
気候危機は食糧と戦争の危機
みなさん、気候危機によって世界はこれから10年で、さらに大きく変わると科学者は警告を発しています。気候危機は食糧の危機、戦争の危機です。
大気中二酸化炭素濃度は1980年約340ppmであったものが、現在420ppmになろうとしています。国連のCOP会議に世界中の市民団体、科学者、政治家が集まって対策を立てているにもかかわらず、大気中の二酸化炭素濃度は1年間に約2ppmずつ確実に上昇を続けています。
昨年の夏はかつてない猛暑に見舞われ、科学者は「地球温暖化の影響がなければ起こりえなかった現象だった」と説明し、国連のグテーレス事務総長は、これを「地球沸騰化」と表現しました。人類が気候危機を日常生活のなかで実感し、観測記録がこれを裏付ける年となりました。
私たち緑の党は、人類がこの気候危機を乗り越えるためには、これまで以上の対策が必要であると考えます。原発の稼働を停止し、2030年までに化石燃料ゼロ、再エネ3倍を目指すことを提案します。
AIは電力消費の塊り
さて、みなさん、AIが人類の未来を変えると言われていますが、それはバラ色の未来ばかりではありません。AIは電力消費の塊りです。例えて言えば、AIは人間の脳に相当します。夕方お腹いっぱいに食事をしても、朝になったらお腹がすいているのはなぜでしょうか。その原因の一つは人間の脳が大量のエネルギーを消費することにあります。人間の脳は体重の2%にすぎませんが、その消費エネルギーは全消費量の20%以上です。これは筋肉のエネルギー消費量に相当します。
例えば人間を打ち負かした囲碁の対局ソフトAlphaGoの消費電力は25万W。これは約500世帯分の消費電力にあたります。私たちはメールをやり取りしていますが、メールを一つ発信するごとに約0.2gの二酸化炭素が発生します。さらにメールに添付ファイルを一つ付けると、その量は10倍の約2gに増えるのです。私たちがGoogle検索をするたびに約0.3Whの電力量が消費されます。さらにAIを使ったChatGPTで検索すると、電力量は10倍の約3Whに増えるのです。
データセンターが巨大化
世界では1分間に約2億通のメールが飛び交い、数えきれない検索が行われていますが、その数は年々増え、これを支えるのがデータセンター、人間の脳にあたるものです。IEA(国際エネルギー機関)が2024年1月に発表した電力に関するレポートによれば、世界のデータセンターにおける電力消費量は、2022年約460TWhであったものが、2026年にはその倍以上の約1,000TWh、日本全体の総消費電力量に匹敵する値に達します。日本の海底ケーブルの中継地点にあたる千葉県では、データセンターの建設ラッシュが続いています。この地域の消費電力は、以前は30万kWであったものが、2027年には原発2基分にあたる200万kWを超える見通しです。
半導体産業が電力を消費し環境を破壊
日本政府は北海道にラピダスを建設し、九州に台湾TSMCを誘致しました。ラピダスは3ナノの半導体を目指すと言っています。なぜ3ナノの半導体が必要なのでしょうか。それは半導体の性能を高めると消費電力量が増え熱で壊れてしまうからです。これを防ぐためには電子の通り道を狭くする必要があるのです。
また半導体工場は大量の電力を消費し、大量の水を汚染します。TSMCは台湾に半導体工場の建設を計画していましたが、台湾住民の反対運動により建設を断念しています。北海道に建設されるラピダスの工場は消費電力が60万kW。これは北海道の全消費電力の1割から2割に相当します。北海道電力の社長は泊原発の再稼働をラピダスに間に合わせたいと言っています。
海面上昇に備え、ニューヨークは5mの防潮堤と防潮水門を建設、リニアのトンネル工事をしている場合ではない
人間の脳が進化において大きくなっていったように、AIとデータセンターが巨大化し、このままではデジタル産業を支えるためにいくら電力があっても足りない世界になってしまいます。デジタル産業は環境を破壊し、原発を必要とする亡国の産業です。
みなさん、名古屋駅の標高は2m40㎝です。グリーンランドの氷の3割が融けると、海岸線は名古屋駅に迫ります。すでにニューヨークは海面上昇に備え、2026年の完成を目指し、高さ5mの防潮堤と防潮水門の建設をはじめています。これが気候危機の現実です。リニア中央新幹線のトンネル工事などやっている場合ではありません。
私たち緑の党は食糧を自給し、化石燃料ゼロ、再エネ3倍の社会を提案します。食糧自給率を高め、食糧とエネルギーを自給しさえすれば、どんな世界になろうとも何も恐れるものはありません。私たちとともに原発ゼロ、自然エネルギーの社会を目指しましょう。