緑の党・東海

脱原発アクション

珠洲市の市民運動が日本列島を救った

緑の党の会員A.Niwaさんが小牧脱原発パレードでスピーチをしました。

珠洲市の市民運動が日本列島を救った

福島第一原発事故から13年、14回目の春を迎えました。現在日本には56基の商業用原子炉があり、廃炉が決定した原発は23基。稼働可能な原発は12基、そのうち今、稼働している原発は10基です。残り21基のうち女川原発など9基が、稼働に向け準備中です。

17地点、56基もの原発の存在をみると、私たちの市民運動が敗北を重ねてきたようにみえますが、そうではありません。これまで全国53地点において、市民運動は原発の建設を阻止してきました。三重県芦浜では完全に勝利しました。山口県上関など計画中の9基の原発に対し建設阻止の市民運動が続いています。青森県大間、東通、そして島根原発では建設中の原発に対し稼働阻止の闘いが続いています。

能登半島珠洲市の円龍寺住職・塚本真如さんは、珠洲原発反対のリーダーでした。48年前、原発について何も知識のなかった塚本さんは、「原発推進の本と反対の本をそれぞれ100冊読み、安全は嘘で固められている。放射能と人間は共存できないと思うようになった」と語っています。

正月、能登半島地震により明らかになったように、珠洲原発の建設を阻止した市民の反対運動のおかげで日本列島は人の住めないデッドランドとなることをまぬがれました。珠洲市における市民運動によって私たちの暮らしは救われました。今日こうして集会を開くことができるのは諦めず原発に反対してきた市民運動のおかげです。

放射能をゼロにする解決策はない

福島第一原発の廃炉作業は困難を極めています。原子炉には880トンもの核燃料デブリが残され、1グラムも取り出すことができていません。仮に880トンのデブリを一日1グラムずつ取り出したとすると、すべてを取り出すのになんと240万年かかります。

核燃料デブリがいつまでも原子炉の中にとどまっていると思ったら大間違いです。デブリのほとんどは金属元素です。デブリを構成する金属元素は阿武隈川から流れる伏流水に洗われ陽イオンとなって地中深く浸み込み土壌を汚染してゆきます。

デブリに近い最も汚染された地下水を汲み上げ、ALPSのフィルターや沈殿槽で除染しているのですが、同時にフィルターや沈殿槽に溜まった高濃度汚泥水・スラリーが日々蓄積されています。汚染水を薄めて海洋放出し、すべてが解決すると思ったら大間違いです。

福島第一原発事故によって、私たちは放射能の閉じ込めに失敗しました。取り返しのつかない大失敗です。まずそのことを認めねばなりません。私たちに残された最善の策は、放射能を管理し、半減期を待つことです。放射能をゼロにするような解決策はありません。

安い日本が買われている

さて2月22日、日経平均株価がバブル期の最高値を更新しました。コロナの前のニューヨークで日本料理を注文すると、焼き魚定食が2000円、ラーメンが一杯1500円といわれていました。ところが今、ニューヨークではラーメン一杯5000円です。北海道ニセコはスキーを楽しむ外国人観光客で賑わい、牛丼が1杯2000円、ホテルが一泊170万円です。昨年4月に開業した東京ミッドタウン八重洲にあるブルガリホテルでは、一番安い部屋が1泊25万円、最高級の部屋はなんと一泊500万円です。

日本の株価を牽引しているのは海外の投資家です。株価の時価総額を比較するとアップルが390兆円、マイクロソフトが320兆円、グーグルが200兆円、これに対しトヨタは58兆円です。この数年で世界は大きく変わりました。日本は安く買われているということです。

株で得をする者がいれば損をする者がいます。例えば、昨年ソフトバンクはウィーワークという株で大損しました。ウィーワークの時価総額は最高値で7兆円でした。これはパナソニックの時価総額3兆5千億円の2倍です。ウィーワークはいったい何をしている企業かといえば、賃貸オフィスの会社だそうです。賃貸オフィスの会社がパナソニックの2倍の価値があるなどということは信じられません。ソフトバンクは損をして当たり前です。

再び同じ失敗を繰り返そうとしている

日本政府は半導体こそが経済復活の鍵であると、九州と北海道に最先端半導体工場を誘致し、これを経済成長と貿易黒字のための切り札にしようとしています。なぜ九州と北海道が選ばれたかといえば、そこにきれいな水が豊富にあるからです。このままでは水が汚染され、田畑が工場やビル変わってしまいます。

経済成長が私たちの幸せにつながる時代は終わりました。デジタル産業は大量の電力を消費し、水と土壌といった私たちが生きる土台である生態系を破壊するものです。

これまで私たちは外貨を稼ぎ、その外貨で食料を輸入し暮らしてきました。しかし、もはやそのような暮らしはできないものと覚悟すべきです。投資や貿易で幸せに暮らせる時代は終わりつつあります。私たちがいま、取り組まねばならないことはエネルギーと食料の自給です。

みなさん、覚えていますか。日本のバブルが崩壊し、株価が暴落し始めたのが1989年です。そして、ジュリアナ東京が開店したのがその2年後の1991年、大蔵官僚ノーパンしゃぶしゃぶ接待汚職事件が1998年です。つまりバブルが崩壊しても、日本はそれを認めることなく、平気で踊り狂っていたのです。そして今、再び同じ失敗を繰り返そうとしています。

政治、経済、そして原発において、過去の失敗がなにも生かされていません。私たちは気付き、危機感を持ち、失敗を生かすべきです。そのためには失敗を認めることが第一です。

2つの戦争は混沌を深めている

さて、世界は2つの戦争をめぐり混沌を深めています。ロシアではナワリヌイ氏が急死し、プーチンの大統領の5選が確実視されています。ウクライナでは支持率が低下するなか、ゼレンスキー大統領は大統領選挙を中止しました。モルドバとの国境では、ウクライナの若者2万人が徴兵を逃れるため国外へ脱出したとBBCが伝えています。アメリカでは若者たちがイスラエルの残虐行為を批難しています。学生の行動を取り締まらなかったハーバード大学とペンシルベニア大学の学長が「反ユダヤ行動を容認」したとして辞任しました。背景には大学に多額の寄付をしているユダヤ・コミュニティの影響力があるといわれています。20日、アメリカは国連安保理の停戦決議に4回目の拒否権を行使しました。

核のゴミの行き場がない

さて原発ですが2月7日、ALPSの配管を洗浄中に汚染水が漏えいしました。漏えいした汚染水の量は5.5トン、220億ベクレルの放射性物質が土へしみ込んだと報道されましたが、後日、汚染水の漏えいは1.5トン、放射能総量は66億ベクレルと訂正されました。

2月13日、核のごみの最終処分地選定を巡り、原子力発電環境整備機構(NUMO)は、北海道寿都町と神恵内村が処分場建設の適地となり得るという判断をしました。15日、鈴木直道北海道知事は「多様な意見があることを踏まえないと客観、中立、公正な議論ができない」とNUMOの報告書に反対意見が書かれていないことに苦言を呈しました。

市民は死の商人を許さない

最後に良いニュースがあります。2月5日と9日、自衛隊への武器売買をしている伊藤忠商事と日本エヤークラフトサプライはイスラエルの軍事大手「エルビット・システムズ」との協力覚書を2月末をめどに終了すると発表しました。これは昨年12月から連日、東京と名古屋で署名運動と反対活動をしてきた市民運動の成果です。

「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さんは、「問題はエルビット・システムズとの提携だけではありません」「日本エヤークラフトサプライの北関東工場のホームページには、パレスチナ人を実験台にして開発したイスラエル製の武器が並んでいます」取引実績の一番上には防衛省の名前があります。「パレスチナ人を虐殺している武器を日本の自衛隊が使っているということです。日本エヤークラフトサプライは死の商人です。全てのイスラエル企業との提携を終了することを求めます」と訴えました。

原発の末路は二通り、事故か廃炉か、壊れるか壊すか、壊れる前に壊す。必ず廃炉にできます。

参考

原発建設を止めた日本の市民運動 – 国際環境NGOグリーンピース (greenpeace.org)