- 投稿日:2022年03月21日
- カテゴリ:声を上げよう
東京電力フェル&パワー(株)と中部電力(株)が折半投資する(株)JERAは、愛知県に日本一の石炭火力・碧南火力発電所(碧南市)を運営しています。 最大で410万kWを出力する 5機の碧南石炭火力は、二酸化炭素の排出についても、愛知県の排出量の約3分の1を占めます。 さらに今年8月には、武豊火力発電所(知多郡武豊町)に107万kWの5号機を稼働する予定です。
私たち緑の党グリーンズジャパン東海本部は、有志が昨年9月にも 、碧南石炭火力の廃止と武豊石炭火力の稼働取りやめを求めて申入れましたが、まだ返事を受け取れていません。そこで再度、申し入れます。
3/22(火) JERA碧南石炭火力に廃止を求めて申し入れ
碧南市在住の会員・辻正三さんは、長年、碧南火力発電所の廃止を求めてきました。3月22日に申し入れ書を手渡します。
スタンディング:3/25(金)17時 JERA西日本支社(JPタワー名古屋)
世界中で「世界気候アクション」が行われる3月25日金曜日に、私たちも名古屋でスタンディングを行います。皆さんもご参加ください!
とき 3/25(金)17:00-17:30
ところ JERA西日本支社前(JPタワー名古屋、名古屋駅10番出口)
石炭火力にアンモニアを混焼しても、CO2削減になりません!
石炭にアンモニアを混ぜて燃やすことで、二酸化炭素の排出削減になると言われますが、2つの意味で間違いです。
(1)輸入アンモニアを日本で燃やす時はCO2を出さないが、アンモニア生産国ではCO2を出す。
アンモニアは水素と窒素を反応させて製造します。ですから、水素の製造のしかたが問題です。おもに3つの方法があります。①天然ガスと水蒸気を反応させ、水素と二酸化炭素に分離する。グレー水素と呼ばれる。②石炭を蒸し焼きにして、水素と一酸化炭素を分離する。ブラウン水素と呼ばれる。③再生可能エネルギーで発電した電気を使って、水を水素と酸素に分解する。グリーン水素と呼ばれる。
もし、①②の工程でCO2を回収するCCS技術(注)を採用していれば、できた水素はブルー水素と呼ばれます。 (注) 二酸化炭素回収・貯留 : CCS、Carbon Capture and Storage
それぞれの「色」の水素で作られたアンモニアは、それぞれグレー・アンモニア、ブラウン・アンモニア、グリーン・アンモニア、ブルー・アンモニアと呼びます。
グレー・アンモニアもブラウン・アンモニアも混焼すればその分CO2は減りますが、生産国での製造工程でCO2を排出するのではCO2を削減したことになりません。アンモニア生産国に二酸化炭素の排出を押し付けただけという訳です。 さらに、製造工程でエネルギーが多く必要なので、化石燃料をそのまま燃やす以上のCO2を、全工程では排出することになります。
(下の英国シンクタンクTransitionZeroの資料を参照)
(2)アンモニア混焼はコスト高:20%混焼は石炭だけより2倍高い
アンモニアは高いです。グレー・アンモニアは石炭の4倍の価格。石炭に20%のアンモニアを混ぜる場合、石炭だけより2倍になります。グリーン・アンモニアを使うとコストは法外になります。 (英国シンクタンクTransitionZeroの資料を参照)
評価します!JERAがグリーンかブルー・アンモニアに限るなら
JERAは、2022年2月18日のプレスリリースで、アンモニア調達先の条件として「原則としてアンモニア製造時のCO2は発生しない、もしくは回収・貯留されていること」と発表しました。つまり、グリーン・アンモニアか、ブルー・アンモニアに限るということです。 私たちは、この姿勢をすばらしいと評価します。「原則として」ではなく、「必ず」条件を守っていただきたいと思います。
しかしそうなると、先述のようにコストがかかります。TransitionZeroによると、グリーン・アンモニアは2040年になっても競争力を持ちえません。だからJERAも、2050年にやっと、アンモニア専焼、すなわち「JERAゼロエミッション2050」ができると期待しているのでしょう。しかし、これでは遅すぎます。石炭火力は、2030年までに廃止が必要だからです。
緑の党グリーンズジャパンは2030年までに温室効果ガス70%以上削減を主張していますが、多くの環境団体も60%以上削減を唱えています。そのためには、高効率でもCO2排出が多い石炭火力は、廃止が必要です。
ですから私たちはJERAに、石炭火力に固執せず、洋上風力などの自然エネルギー(環境アセスメントを十分行った上で)に専念するなどを提言します。