緑の党・東海

原発の末路は二通り:壊れるか、壊れる前に壊すか

緑の党会員のA.niwaさんが、6月5日の 小牧脱原発パレード で訴えました。

北海道泊原発運転差し止め判決

泊原発

5月31日、札幌地裁、谷口哲也裁判長は泊原発1~3号機の運転差し止を命じる判決を言い渡しました、同時に求めていた廃炉請求は棄却しました。原発の運転差し止めを命じる判決は、2014年5月の関西電力大飯原発3、4号機、昨年3月、日本原子力東海第2原発に続き3例目です。

6月1日、島根県丸山知事は島根原発再稼働に同意してしまいました。

日本の原発を止めるには5つの方法があります。原子力規制委員会が止める。総理大臣が止める。国会が止める。裁判で止める。そしてもう一つは、地方時自体の首長が止める、です。いずれにしても私たちの声、世論で止めるしかありません。これは戦争を防ぐことと同じです。

ロシアがウクライナに侵攻し102日目

この3カ月で、ロシア兵の死者は1万5千人をこえました。これは、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した1979~89年の10年間に死亡した当時のソ連兵の戦死者数を上回っています。

5月5日ウクライナのルカシェンコ大統領は、戦争がこんなにも長引くとは思わなかったと述べ、核兵器の使用は容認できないと語りました。その理由について、ウクライナは隣国であり、米国のような海の向こうの国ではないからだ、などと述べています。

核兵器は核のゴミである

冷戦時代、核兵器はその甚大な破壊力にもかかわらず「核抑止論」の名のもとに、戦争を抑止する存在であるとして、私たちは核兵器を大量生産してしまいました。1980年代の冷戦時代、世界には約7万発の核弾頭があったといわれています。それが現在、世界の核弾頭数は約1万3千発です。

この間、核の解体により排出された大量のプルトニウムをどう処理するかは非常に大きな問題でした。当初、プルトニウムをウランと混合し、MOX燃料として原子炉で燃やす予定でした。

旧約聖書の言葉に「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」とあるように、それは人類に平和をもたらす技術のように思われました。

しかしながら、1994年全米科学アカデミーは、核解体により得られたプルトニウムはガラス固化し、地下処分することが最も安上がりであるという、報告書を出しています。

日本ではプルトニウムを高速増殖炉で燃やす予定でした。ところがもんじゅの爆発により失敗し、急きょMOX燃料として原子炉で燃やすという計画変更を余儀なくされたのです。プルサーマル計画などと呼ばれていますが、これは和製英語です。そして爆発事故を起こした福島第一原発3号機は欧州で作られたMOX燃料を燃やすプルサーマル計画の第一号でした。

私たちはこれまでの経緯を確認し、次のことを後世に語り継がねばなりません。すなわち、核抑止論は誤りであり、核の軍事産業は核のゴミ捨て場であり、核兵器は核のゴミそのものである。そして原子力発電こそが人類に不幸をもたらす元凶です。

地球の食糧生産は限界である

現在世界は食糧危機のなかにあります。生物である私たちは食糧を蓄えることができず、毎年必要量を生産し消費せねばなりません。5月18日、食糧安全保障の会合においてグテーレス国連事務総長は「今後数カ月で世界的な食糧不足の不安に直面する」と警告しました。

世界はウクライナ戦争以前から深刻な食糧危機にあります。地球は今、すさまじい干ばつと水不足に見舞われているのです。

アフリカのケニア、ソマリア、エチオピアでは干ばつが常態化しています。南部に石油資源を持つスーダンでは2011年南スーダンが独立し、北に住む人びとは兵士として出稼ぎに行くしかないというありさまです。

オーストラリアでは1982年から断続的に干ばつが起きています。2006年から雨量が減少する傾向にあり、大干ばつであった2019の1月には、大洪水にも見舞われ、干ばつと洪水に同時に見舞われるというまさに異常気象です。

アメリカ中部の穀倉地帯の気候はほとんど雨が降らないステップと呼ばれる植生です。穀物を支える水は帯水層と呼ばれる地下水に頼っています。ところがこの地下水が近年枯渇の危機にあり、これまでのような穀物生産が困難な状況にあります。実はウクライナの気候もステップと呼ばれる植生で、200年前までは遊牧民が暮らしていました。

中国では毎年1万平方キロの農地が失われています。砂漠化が止まらず、ゴビ砂漠は年に3キロのペースで北京に向かって広がり続けているのです。

インドはウクライナ戦争による穀物不足を補うため、穀物の輸出を増やす計画でしたが、熱波のため輸出中止を決定しました。

地球はすでに限界の域にあります。これ以上の工業化、経済成長は不可能であり、経済成長を目指せば目指すほど私たちは自らの首を絞めることになります。

学問に王道はなく、借金を返すに近道はない

さて、世界経済は、長らく続いたデフレからスタグフレーションへと変わろうとしています。工業製品が生産過剰のなか、食糧のインフレが起きつつあります。自公政権はデフレ脱却を目指し、アベノミクスによりゼロ金利・異次元金融緩和を2013年から丸9年行ってきました。その間、オリンピック、アメリカからの武器購入と借金を重ねてきました。自公政権が目指したインフレ・景気回復とはならず、給料が上がらないなかの物価高、スタグフレーションとなったのです。

アメリカ、欧州、そして韓国が金利引き上げ、金融引き締めへと舵を切るなか、日本政府だけが金利を上げることができません。アベノミクスの恩恵どころか、円安、物価高による被害が消費者を直撃しようとしています。

日銀が金利を上げない場合、円安により輸入品が高騰します。金利を上げた場合、約1千兆円の財政赤字に対し、1パーセントについて約10兆円の借金を払わねばなりません。日本の国家予算は軍事費が約5兆円、そして教育費が約5兆円です。この軍事費と教育費を合わせた額の借金を新たに払うことになるのです。

日本の財政赤字の債権者は日本国民、すなわち銀行の預金者です。借金が払えない場合、私たちの預貯金の価値が目減りすることを意味します。海外からエネルギーや食糧を買うときに買い負けをし、お金がいくらあっても足りない時代になるということです。

これまでのように、頑張ってお金を稼ぐという発想は限界です。頑張れば頑張るほど疲れ果てて不幸になるだけです。

学問に王道はなく、借金を返すに近道はありません。エネルギー消費量を減らし、食糧自給率を高める以外に解決策はありません。まずは借金の元凶である原発を止めることが解決のための一丁目一番地です。

原発の末路は二通り、事故か廃炉か、壊れるか壊すか、壊れる前に壊す。必ず廃炉にできます。