緑の党・東海

脱原発アクション

【声明】武豊石炭火力の建設見直しを要請した環境省意見を高く評価します

武豊石炭火力の建設見直しを要請した環境省意見を高く評価します

2017年8月12日

写真は武豊発電所ではありません

緑の党東海本部 運営委員会

 

緑の党東海本部は、環境省が中部電力の武豊石炭火力の建設見直しを要請したことを高く評価します。

 

しかし、このように化石燃料の使用を削減するときに、往々にしてCO2排出の少ない原発の稼動を許そうという話がでます。これは絶対に許せません。原発は、CO2よりもっと悪性の放射性物質を生産し、もし事故が起これば、他の発電方法とは比べ物にならない甚大な被害をもたらします。

 

原発を全面的に廃炉にすることが最重要です。それと同時に、火力発電、特に石炭火力を減らすことが重要です。私たちは、エネルギーを大量に消費する産業構造や生活態度を改め、ひとつしかない地球で持続可能な社会を作っていかなければなりません。

 

緑の党東海本部は、2年前、武豊石炭火力発電所の建設計画が発表された時から、この計画に反対してきました。石炭火力は、ばい煙など有害な微粒子物質(PM2.5など)を発生し、大量のCO2を出します(天然ガスの2倍)。周辺住民の健康を脅かす恐れがある上、世界的なCO2排出削減の努力に逆行します。

 

日本は、パリ協定を締結したので、2030年までに2013年比26%のCO2削減しなければなりません。2017年8月1日、環境省は中部電力に対して、2030年目標達成に貢献するCO2削減対策ができないなら、この石炭火力の建設を止めなさいと意見しました。また、経済産業省に対しても、2030年目標達成の努力を要請しました。緑の党東海本部は、この環境省意見を高く評価します。

 

中部電力は、石油火力の武豊2~4号機を廃止して、代わりに同じくらいの発電ができる石炭火力5号機を新設しようと計画しているわけです。(1号機はすでに廃止) ところが、5号機が排出するCO2は、2~4号機合わせた量より200万トンも多く600万トンに及びます。

 

1kwhあたり何キロのCO2を出しているかを示す、温室効果ガス排出係数というのがあります。中部電力の数字は0.485kg-CO2/kwh(2016年度)ですが、電力会社の目標0.37kg-CO2/kwhに全く届いていません。さらに年間200万トンもCO2排出が増えたら、目標はさらに遠のきます。

 

石炭火力が安いのは、世界的に石炭火力をやめているからです。2030年の目標が達成できないとなれば、CO2排出の多い石炭火力は認められなくなる経済リスクがあることを、環境省は親切にも中部電力に助言しているのです。

 

中部電力は、環境省の意見を真摯に受け止め、温暖化対策に逆行する石炭火力発電の建設を中止してください。また、碧南火力発電所では、国内の間伐材などの木質チップを燃料に混入する率を上げ、日本の林業発展に貢献してください。そして、もちろん浜岡原発は廃炉にし、再生可能エネルギーへのシフトに思い切って舵をきるように要請します。

 

経済産業省に対しては、経済的利潤ばかり追求するのではなく、地球的な問題である温暖化対策に真摯に取り組むことを要請します。

以上

 

緑の党東海本部 代表

尾形慶子

メール:info@greens-tokai.jp

上記「声明」文を中部電力と経済産業省に示し、武豊石炭火力の建設見直しを要請しました。

それに対して、本日8/18、中部電力から下記のように返答が来ましたので、お知らせします。

中部電力は、石炭火力を安定性・経済性に優れたベースロード電源であるとして、武豊火力5号炉の建設を実行したい意向です。

私たちは、今後も反対の姿勢を強く示していきましょう。

中電の返答*****

武豊火力5号機建設の環境影響評価準備書に対する環境大臣意見としては、

「2030年度およびそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組みへの対応の道筋が描けない場合には、事業実施を再検討することを含めて事業の実施について、あらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である。」との意見が出されたと認識しております。

弊社としては、環境大臣意見を踏まえた経済産業大臣からの勧告を9月中旬頃にはいただく予定となっておりますので、まずはその内容を注視したいと考えております。

石炭火力のCO2排出量は、LNG火力と比較すると多いものの、国のエネルギー基本計画において、石炭火力は電力の安定、経済性に優れた重要なベースロード電源と位置付けられており、経済性と燃料の調達安定性に優れた電源であると考えております。

武豊火力5号機リプレース計画では、国内最高水準の熱効率を誇る発電設備を採用することにより、CO2排出の低減に努めるとともに、ばい煙や温排水による環境負荷を既設2~4号機よりも低減する等、できる限り環境への負荷軽減に努めてまいります。

さらに、2016年2月に設立した電気事業低炭素社会協議会において、電力業界における2030年度排出係数の目標を0.37kg-CO2/kWhとする自主的枠組みの達成に向けて、安全確保を大前提とした原子力発電の活用や、再生可能エネルギーの活用、火力発電の更なる高効率化と適切な維持管理あるいは、低炭素社会に資する省エネ、省CO2サービスの提供等、それぞれの事業形態に応じた取組みを実施し、PDCAサイクルを推進することで電気事業全体で最大限努力してまいりたいと考えております。

今後とも、弊社の事業活動にご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。