緑の党・東海

韓国徴用工判決に司法の独立を見た

会員のA.Niwaさんが「週刊金曜日」に寄せた文章を紹介します。******************

【韓国徴用工判決に司法の独立を見た】

10月30日、韓国の最高裁判所は、戦時中日本で働かされた元徴用工の4人の訴えを認め、新日鉄住金に対し合わせて約4000万円の賠償を命じる判決を示した。韓国政府は外交問題になることを避ける方針らしいが、文在寅大統領は「判決を尊重する」と述べた。

これに対し、日本では1965年の日韓請求権協定を引き合いに出し、日韓の政府間で「完全かつ最終的に解決された」問題を裁判所が覆すのはおかしいという趣旨の報道がなされている。

読者の皆さんはこの問題に関する一連の報道についてどうお考えであろうか。

私は、これこそ「三権分立」の実証であると考える。日本の報道がこの判決に批判的なのは、日本人が「三権分立とは何か」実感を持てずにいるからではないだろうか。学校の教科書で教えてもらう程度の知識はあっても、三権分立とはどういうものか現実の社会で実感することができない。実感できないものは理解できないのである。

2015年、安保法制は閣議決定の後、国会において3人の憲法学者が「憲法違反である」と断言したにもかかわらず可決された。この時安倍晋三首相は野党の追及に対し、「安保法案が違憲かどうかは,最高裁が判断する」と応じた。彼にとって政府を忖度しない最高裁などあり得ないのであろう。

日本ではあり得ない韓国最高裁の判決に対し、「私は立法府の長」と言ってはばからない安倍晋三首相は「あり得ない」と言い放ち、彼の頭の中に三権分立がないことをあっさり認めてしまった!由々しき事態である。