- 投稿日:2020年08月21日
- カテゴリ:声を上げよう
8月21日、野党共闘を目指す市民アクション@愛知6区が犬山市で行いました。丹羽淳さんが緑の党を代表して行ったスピーチはこちらです。
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みなさん、覚えていますか。コロナウィルスの感染拡大は中国武漢のわずか数人、ひょっとしたら、たった一人の感染者から始まりました。それが現在世界で約2200万人、死者は約80万人、一日の感染者は約25万人、一日の死者は約5500人です。感染が収まったように見えても、決して油断はできません。
ドイツでは、ヨーロッパにパンデミックが広まるなか、メルケル首相はイタリア、フランスから重症患者をドイツに受け入れ、支持率を高めました。お隣の国、韓国では文在寅大統領がすべての市民を対象とした無料PCR検査を実行し、感染拡大を抑え込み支持率を高めました。日本では第1波の感染拡大を回避したにもかかわらず、安倍政権は支持率を下げています。なぜでしょうか。
アベノミクスが始まってから6年9か月、戦後最長の景気回復であったと政府は言っています。しかしIMFによれば、日本の国民一人当たりの名目GDPは2012年に4万8600ドルであったものが、2018年には3万9300ドルに減少しています。アベノミクスの7年で、私たちの所得は低下しました。またOECDによれば、2018年国民一人当たりのGDPで、日本はお隣の国韓国に追い越されました。それが真実です。
法人税率を低くすればするほど、労働者の賃金を安くすればするほど企業は儲かるのです。アベノミクスとは、この法人税の引き下げと派遣労働による低賃金を単純に実行しただけです。そこには何の想像力もありません。
アベノミクスは政治ではなくただの金儲け、ビジネスしやすい国というのは労働者を安く使い捨てる国です。安倍政権に国民の暮らしは見えていません。
お金の問題だけではありません。集団的自衛権を認めた安保法制に始まり、アメリカからの武器の爆買い、高江のヘリパット、辺野古の埋め立てと、アメリカ追随の政治を行ってきました。そしてモリカケ、桜を見る会と身内びいきの縁故政治を行ってきました。さらに、都合の良いように記録の改ざん、隠ぺい、破棄と安倍政権による政治は嘘ばかりです。
有権者は安倍政権の嘘を見抜いています。支持率が上がらないのはそのためです。
政権発足以来、ひたすら憲法改正と東京五輪を目指して奔走してきましたが、東京五輪の開催を目前に政権の「嘘と傲慢」を暴くかのように新型コロナウィルスの感染拡大が起きたのです。まさに天網恢恢疎にして漏らさず。もはや安倍首相のどんな美辞麗句も通用しません。
コロナウィルス、気候変動、そして原発、これらの問題は無関係なものではありません。その背景には私たちのエネルギーの大量消費があり、私たちが暮らす資本主義社会の限界を示しています。
自粛生活において、私たちの暮らしを支えているのはゴミの回収、トラックや倉庫、お店、介護、医療、保育、農場や工場現場などで働く人々です。働き方改革において、こうした労働は社会になくてはならないものであるにもかかわらず、生産性が低いという理由で軽視されてきました。しかしコロナ禍のなかこうした仕事はエッセンシャル・ワークと呼ばれ、人びとの感謝と尊敬を集めています。
一方、マーケッティングや広告、コンサルティング、保険、金融業など、こうした仕事は生産性が高いけれども、実は社会にほとんど役立っていません。電通の広告がなくなっても困る人はいません。こうした仕事はお金を稼いでいますが、実際には社会の格差を広げているのです。世界ではこうした仕事をブルシット・ジョブ、文字通り「クソ仕事」と呼んでいます。
それどころか、広告会社電通や派遣会社パソナは、コロナ禍で困っている人に配るはずの給付金のピンハネ、中抜きをしていることが明らかとなりました。ブルシット・ジョブは社会の役に立たないどころか、社会に有害であることが示されたのです。
この10年、今だけ金だけ自分だけの新自由主義の価値観のもと、世界一金儲けをしやすい国を目指して、生産性だけを重視する会社経営のような政治を行ってきました。その結果、私たちは幸福とは程遠い格差社会をつくってしまったのです。
みなさん覚えていますか。3月の半ば感染者が急増し、4月に緊急事態宣言が発せられ、日本中が身構えました。幸いにも、海外でみられたような感染者数が2日で倍となり、その状態が数週間続くようなことは起きませんでした。
しかし感染拡大が第2波の様相を呈するなか、安倍首相は専門家会議を突然廃止し「検査・医療体制の整備が進んでいる。感染は主に若い世代で、重症者が少ない」と国民の批判を無視し、GoToキャンペーンを実施してしまったのです。多くの人が予想した通り、感染者は急増し、重症患者が増えつつあります。取り返しのつかない大失策です。
アベノマスクに始まり、GoToキャンペーンと、日本のコロナ対策は混迷を深めています。すべては行き当たりばったりの思い付き、とても政策と呼べるようなものではありません。国会を閉幕し「コロナ対策はすべて与党で協議」するなどと述べ、野党のコロナ対策を無視し、閣議決定を連発する国会軽視の政治を続けています。
縁故政治により自分に追従するイエスマンだけを登用し、美辞麗句を並べ言葉で解決する政治はもう通用しません。はだかの王様の周りに有能な官僚は残っていません。
20世紀の価値観にしがみつき、いまだに五輪、万博、カジノ、リニアと経済成長を求める政治は限界です。世界ではニュージーランド労働党連立政権ジャシンダ・アーダン首相が「幸福予算」を発表しました。これは限られた資金を幸福のために使うというものです。幸福とは何でしょうか。精神疾患、子供の貧困、家庭内暴力この3つに特に多額の予算を当てる予定だそうです。また、スペインでは失業保険、生活保護に加え、最低生活収入(minimum living income)を新たに作り、新しいベーシックインカムとして注目されています。コロナ後の新しい価値観に向かって世界は大きく変わろうとしています。
野党のみなさん、有権者は安倍政権の嘘を見抜いています。野党のみなさんが協力してくださるだけで、安倍政権を倒すことができるのです。生活に苦しむ市民に目を向けてください。私たちの声を聞き、違いを乗り越え、選挙を協力してください。