- 投稿日:2025年08月04日
- カテゴリ:声を上げよう
緑の党会員のA.Niwaさんが小牧脱原発パレードでスピーチしました。
本日(8/3)、小牧脱原発パレードを行いました。
猛暑のなか9名の参加でした。
20年後のことも心配ですが、今年のお米の収穫も心配です。
A.niwa
選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃
7月20日、参院選において自公政権は大敗しました。自公に代わって議席数を伸ばしたのは国民民主党と参政党です。かつて、安倍首相は「息を吐くように嘘をつく」といわれましたが、参政党は、「在留外国人優遇」、「外国人による犯罪の増加」など、事実に反するデマ情報を流すことにより支持を伸ばしました。
これに対し7月15日、日本ペンクラブは、緊急会見を開き、「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」という声明を発表しました。選挙期間中にこのような声明が出されるのは異例のことです。
「外国人犯罪が増えている」「外国人が生活保護や国民健康保険を乱用している」「外国人留学生が優遇されている」といった、事実とは異なる、根拠のないデマが叫ばれています。これらは言葉の暴力であり、差別を煽る行為です。こうしたデマと差別扇動が、実際に関東大震災時の朝鮮人虐殺等に繋がった歴史を私たちは決して忘れることができませんと、警告を発しました。
自信喪失と在留外国人のせいにするという世知辛さ
フランスの世論調査会社イプソスの調査によれば、今や日本人の7割が日本は衰退していると自覚をしています。自信を失いプライドを維持できなきなった人々が、日本衰退の原因を在留外国人のせいにするという、実に世知辛い危機的状況です。このままでは外国人の次は高齢者が攻撃され、その次には障がい者が攻撃されることになってしまうかもしれません。それはまさにナチスの歴史を想像させます。
昨年、日本では1年間に約70万人が生まれ、約160万人が死亡しました。実に約90万人の人口減少です。唯一人口が増加している東京都では、出生率が1を割り0.96です。そこからは、人々が仕事を求め東京に集まり、家庭を持たずに暮らしているという実態が浮かび上がります。
私たちの暮らしの何もかも外国人労働者の助けなしに成り立たない
日本人ファーストをスローガンとする参政党が躍進しましたが、これによって私たちの暮らしが悪くなることがあっても良くなることはありません。人口が減少するなか、私たちの暮らしに外国人労働者は欠かせないものとなっています。大都市には次々と高層ビルが建設され、建設業と不動産のGDPに占める割合は約16%です。2024年時点で建築現場では18万人の外国人労働者が働き、さらに増加しています。ものづくりを支える中小企業も外国人労働者の助けなしに成り立ちません。参政党は農業を重視していますが、地方の農業を支えているも外国人労働者です。社会保険料にしても外国人加入者は給付に比べ負担が多く、社会保険を支えているのです。
今や私たちの暮らしの何もかも外国人労働者の助けなしに成り立ちません。どうせ助けてもらうなら、上下の隔てなくフラットな関係であたいものです。その方が暮らしやすいことは言うまでもありません。
猛暑のヨーロッパ
さて、連日猛暑が続いています。ヨーロッパのコペルニクス気候変動サービスによれば、西ヨーロッパは記録上最も暑い6月となり、過去30年の平均より2.81℃高くなりました。スペイン、ポルトガルでは46℃を越え、ギリシャ、トルコ、フランスでは山火事が発生し、スイス、フランスでは川の水温が上昇し冷却水の役割が果たせなくなったため原子炉の一部を停止しました。ドイツではライン川の水位が下がり物流に支障をきたしています。
猛暑の大陸
中国においても6月に北京で40℃を超えるという猛暑です。中国の電力消費は15億kW(100万kW原発1500基分)を超え、農作物にも被害が出ています。大陸は海よりも温まりやすいという性質があり、高緯度でも熱波の影響を受けやすいのです。
後戻りできない海水温の上昇
海に囲まれている日本は大丈夫かといえば、そんなことはありません。海は冷めにくいという性質があり、一度温度が上昇した海水はなかなか冷えることがありません。海水の深くまで水温が上昇し、長時間にわたって台風にエネルギーを供給し続けることになってしまいます。気候危機は後戻りできない段階に入ってしまいました。
矛盾する2つの問題
問題解決のためには、エネルギー消費量を減らし、二酸化炭素の排出量を少なくする以外に方法はありません。IPCCの第6次報告によれば、2035年までに2019年比で、世界全体で60%の排出削減が必要です。
気候危機が深まるなか、私たちは矛盾する2つの問題を同時に解決せねばなりません。一つは二酸化炭素の排出を減らすこと。そしてもう一つは深刻化する気候危機に備えることです。二酸化炭素を減らすためにはエアコンを使わないに越したことはありません。しかし、熱中症を防ぐためにエアコンを使わざるを得ないという問題です。そして、危機が深まれば深まるほど「エアコンを使うべき」という警告が説得力を持ってしまうのです。
戦争と大気中二酸化炭素の上昇
ウクライナの「戦争の温暖化ガス算定イニシアチブ」によれば、ウクライナ戦争で排出される二酸化炭素量は東京都の排出量を上回るそうです。温室効果ガス観測衛星「いぶき」の観測によれば、この1年の二酸化炭素増加量は3.5ppmと過去最大の値を示しています。20世紀には年2.2ppmの増加でした。
平和をめぐる矛盾する2つの問題
平和を構築するためには軍備を減らし、これをなくしていかねばなりません。しかし、ここでもまた一度戦争が起きてしまうと、「軍事力によって戦争に備えるべき」という考えが説得力あるものとなってしまいます。
戦争に備え軍備を増強しても、それは一時しのぎの付け焼刃であり根本的解決にはなりません。エアコンが気候危機の解決にならないように、軍備は戦争の解決策ではありません。それどころかエアコンの使用が二酸化炭素の排出量を増加させ気候危機を深刻化するように、軍備の増強が一層大きな禍を招くことは間違いありません。
半導体工場は2027年、美浜新原発は2045年開業予定
さて原発ですが7月30日、北海道泊原発が新規制基準に合格しました。これで合格した原発は18基、そのうち14基が稼働し、4基が稼働準備中です。北海道では、ラピダスが消費電力10万kWの半導体工場を27年に開業する予定です。さらに寒冷な気候をあてにして5カ所のデータセンターの建設が予定されています。データセンターは再エネ100%といっていますが、はたして本当に可能でしょうか。22日、関西電力は福井県美浜原発の敷地内において、新原発の建設に着手すると発表しました。完成は早くても20年後、2045年以降になります。
20年後の日本経済
今から20年後、人口減少が進むなか日本はどうなっているでしょうか。恐らく経済はほとんど成長せず、それを「失われた50年」と嘆く人もいなくなると思います。もはや経済は成長しないのが当たり前、人びとは成長を望まず、都会を離れ田舎で食べ物を作り、幸せに暮らしているに違いありません。
世界で一番貧しい大統領と言われた南米ウルグアイのホセ・ムヒカさんは、「われわれは時代の変わり目にいます。ひとつの世界が去り、別の世界がやってきます。しかし、去る者はまだ去っておらず、来るものはまだ来ていない。だからこそ、今は多くの矛盾を抱えた不確実な過渡期なのです」と語っています。
20年後、もちろん原発は無用の長物です。まだ見ぬ未来の他者のために、今日も脱原発の声を上げましょう。
原発の末路は二通り、事故か廃炉か、壊れるか壊すか、壊れる前に壊す。必ず廃炉にできます。