緑の党・東海

脱原発アクション

リニア新幹線に反対する市民が、環境省と国交省に質問しました

6月17日に、環境省・国交省と院内集会が開催されました。
事前に提出した質問書は、下に添付のとおり。
 環境省が国交省にだした意見書に、知事意見を採り上げなかったことについては、
環境大臣と各知事とは立場が違うと言い訳。
 国交省は、事業の必要性と採算性については、20回の審議会で議論されたと繰り返し。
電磁波や安全性については、JR東海の言い分を代弁しただけでした。
 なお、アセス法では、JR東海の評価書に対する国交省の見解は、7月22日までに出されることになっています。住民の声が見解に取り入れられるように、声をあげましょう。

残土問題

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環境大臣 石原伸晃殿

 

中央新幹線計画に関する質問書

 

現在、東海旅客鉄道株式会社提出の中央新幹線環境影響評価書について、国交省において審査が続けられていますが、知事意見の提出から1カ月足らずの短期間で出された評価書は、知事意見の多くが反映されていません。私たちリニア新幹線沿線住民は、自然環境への重大な負荷や生活環境への影響について強い懸念を抱いていますが、かつてないリニア建設という巨大事業が、具体的な環境保全対策が明らかにされず、その法的手続きだけが先行し、国民や沿線住民の不安や疑問を積み残したまま工事の着工になれば、取り返しのつかない事態となります。6月5日に環境大臣意見が提出されました。

私たちは、リニア新幹線計画の凍結と再検証を求める立場から、大臣意見に関連して、以下の通り質問しますので、貴省が具体的に回答されるよう求めます。

 

1.大臣意見の再提出について

JR東海の評価書の審査の中でも、また審査結果が出された時点で環境大臣意見が反映されなかった場合、環境省としてとして改めて意見を提出する考えがあるのか、お答えください。

 

2.南アルプスの環境保全対策について

大臣意見には、「本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することになっているが、多くの推計を横切ることになることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。特に、山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、またユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命である」とあります。エコパーク指定のためには環境、景観への影響をどのような形で保全すべきか、必要な対策について環境省の具体的な考えをお答えください。

 

3.大井川源流部の発生土置き場立地計画変更について

静岡県と静岡市は、大井川源流部の山稜部などに予定されている建設発生土の置き場7か所の立地について計画の変更を求めているが、今回の大臣意見のなかで、環境省がなぜ計画の変更を求めなかったのか、お答えください。特に扇沢の「山体崩壊」についてどのようにご認識されているのか、お答えください。

 

4.自治体と住民の関与について

大臣意見には、「本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能である。このため、事業の円滑な実施及び供用に向け、本事業の今後の検討及び実施に当たっては、関係する地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要である」とあります。地方公共団体や沿線住民がどのような形で関与すべきなのか、環境省として具体的な考えをお答えください。

 

5.鉄道施設の計画変更について

長野県大鹿村は、村内に計画されている小渋川橋梁が建設されると河川の水量に影響が出るため、鉄道施設をトンネルに変更することを求めています。また、岐阜県可児市は国史跡指定を目指す大萱地区の古窯跡を横切る地上部の計画路線をトンネルに変更するよう要請しています。しかしながら、評価書はいずれについてもゼロ回答です。このような切実な要請を真摯に受け止め計画を変更すべきではないのか、環境省の考えをお答えください。

 

6.工事や関係車両の走行による大気などへの環境負荷について

リニア新幹線の建設工事に関係する工事車両は全沿線で1千数百万台になると見られますが、大気質への負荷、騒音・振動などについて環境影響調査地点が極端に少なく、また工事中、供用後のモニタリングや事後調査も不足しています。知事意見もそのことを指摘していますが、評価書にある環境保全対策は、「非常口工事の環境負荷の少ないは最新のものを使う」、「工事車両は基準適合車を使用し、運転手に対しても安全教育を徹底する」など、どの工事でも当然のことを並べたにすぎません。また、評価書では、詳細な工事車両の走行ルートや非常口工事ヤードの施設配置図も明らかにされていません。大臣意見は冒頭で、「本事業は、その規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じるか環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることを否めない」と述べています。大臣意見は、「適切な環境保全措置」を求めているが、評価書にある環境保全措置は具体的でなく、また措置自体不十分であると知事意見は指摘しています。大臣意見にある「適切な環境保全措置」の具体的内容とはどのような措置を指す者なのか、また適切な環境保全措置がとられているかどうかのチェック体制についてどのように担保されるべきか、環境省の考えをお答えください。

 

7.工事による地下水の湧出、枯渇について

都市部及び山岳部の延べ246kmのトンネル工事、及び47カ所の非常口工事が地下水に与える影響について、知事意見は強い危惧を示しており、また大臣意見も「地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれに伴い生じる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、事後的な対応措置は困難である」としている。そして、①より精度の高い予測を行い、水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。②山岳部の非常口トンネルにおいては、防水シートや覆工コンクリートの早期かつ適切な施工、必要に応じて防水型トンネルの施工等を行うこと。③湧水及び処理後の湧水について河川の表流水放流することを検討する際には、水質や水量を検討した上で、専門家及び関係地方公共団体と協議し、できる限り表流水への影響を回避、低減すべく多地点で放流する計画とすること。④工事実施前から、地下水位及び河川流量の把握を継続的に行うとともに、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。河川流量の把握については、水系ごとに流量の少ない源流部や支流部を含む複数の調査地点を設定すること。以上を求めています。JR東海はこれまでの説明会や準備書、評価書で、「山岳部はNATM工法、都市部のトンネルはシールド工法で掘削するので、湧水や渇水が起きる可能性は少ない。非常口工事については新たな導水路をつくるので地下水系への影響は回避できる」と説明、記載しています。その根拠が不確かで、実効性が無いからこそ、環境大臣は上記の追加措置を求めたと考えますが、意見が最終段階の評価書に反映されなかった場合は、環境省としてどのように対応されるのか、お答えください。

特に、静岡県知事が求めた大井川流域の7市2町の水道用水、農業用水などに影響する毎秒2tの水量が減少するメカニズムの解明は「上記の追加措置」で可能となるのか、解明された場合の「恒久対策」とは何を想定されているのか、お答えください。

 

8.動物・植物・生態系の保護について

①大臣意見は、「本事業計画では、生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)の「移行地域」において、非常口や工事プラント、発生土置き場等の設置のほか、発生土や工事資材運搬のための車両の通行等も計画されている。「移行地域」は自然と調和した持続可能な資源管理が展開される地域であり、本事業の実施が生物圏保存地域登録申請地としての資質を損なうことが無いよう、事業実施に際しては関係地方公共団体と十分に調整し、その意向を尊重すること」を求めています。しかしながら、現状の計画では、工事が実施されれば、地形の改変や景観悪化を含めて、登録申請地の資格が無くなるおそれがあります。地方公共団体だけでなく、日本自然保護協会や全国自然保護連合、日本景観学会等、自然保護や景観の維持に詳しい団体や学識経験者も加えた協議が不可欠と考えます。この点について、環境省の考えをお答えください。

②クマタカ、オオタカ、サシバなど希少猛禽類の保護について大臣意見は、「営巣地の工事回避や営巣期の工事の回避」を求めています。環境省が工事回避を求めている営巣地域とはどこなのか、また営巣期の期間はどのくらいなのか、具体的にお答えください。

 

9.建設発生土(工事残土)について

大臣意見は、建設発生土に関して、「施設の規模等の見直しを含め、発生量を抑制するよう検討するとともに、できる限り場外搬出量を抑制すること」と述べています。この施設とは工事ヤードのことなのか、あるいはトンネルや駅、車両基地、変電所、非常口などを指しているのか、お答えください。できる限り場外搬出量を抑制するために、どのような対策をとるべきなのか、環境省の考えをお答えください。

大臣意見はまた、発生土置き場の選定条件として、自然環境に影響を与えず、景観を害することのない場所に設置するよう求めていますが、知事意見でも発生土置き場が周辺環境に及ぼす影響について、事前の環境調査やモニタリング、事後調査を含め、環境保全のため万全な対策を求めています。曖昧な表現ではなく、発生土置き場については具体的かつ順守の必要がある設置基準を設定すべきです。この点について、環境省の考えをお答えください。

 

10.磁界、低周波について

リニア新幹線は超電導技術を採用した新しい走行方式で運用される計画です。供用後になれば極めて強い磁界が発生することは、車内や駅構内の厳重なシールド対策から見て明らかです。実験線における疫学的な検証が欠落しているうえに、車内の詳細な実験データが開示されていません。ペースメーカーやインプラント、脳血管クリップなどへの磁界の影響についても、評価書には具体的記述がありません。しかしながら、大臣意見は、磁界や低周波の発生の影響について全く触れていません。その理由についてお答え下さい。

以 上

 

2014年6月  日

 

リニア新幹線沿線住民ネットワーク

共同代表 天野捷一、片桐晴夫、川村晃生、原 重雄

リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会

リニア新幹線を考える相模原連絡会

リニア・市民ネット山梨

NO!リニア連絡会(大鹿村)

飯田リニアを考える会

東濃リニアを考える会

リニア・市民ネット東京

南アルプス・リニア市民ネット静岡

リニアを問う愛知市民ネット

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国土交通大臣 太田昭宏殿

 

中央新幹線計画に関する質問書

 

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)による中央新幹線(リニア新幹線)計画については、現在、事業実施に向け、国土交通省において、環境影響評価書の審査が行われています。そして、7月22日までに建設認可の手続きが行われると報道されています。評価書については沿線の知事から首長意見が反映されていないとの声が上り、岐阜県知事はたまらず追加意見を提出しました。また、6月5日に出された環境大臣意見も、環境保全のための追加措置を含め、万全の対策を講じるようJR東海に求めています。リニア新幹線事業は、整備新幹線として計画されており、その建設にあたって国土交通大臣の責任は極めて重大です。知事意見提出からわずか1カ月足らずで作成された評価書が、自治体首長や沿線住民の意見を反映したものではないことはその内容からも明らかです。貴省が計画実施のための手続きを急がず、早急な工事着工を認めることがないよう求める立場から、私たちは、以下の点について、貴省に質問しますので、誠実かつ具体的にお答えください。

 

1.リニア新幹線の必要性について

リニア新幹線計画の目的について、JR東海は、経年劣化した東海道新幹線の代替路線であるとともに、将来の大規模地震に対する抜本的対策として、東京・大阪間の路線の二重系化を図るためと説明しています。また、東京、名古屋、大阪間の速達性をはかるため、在来の新幹線と違う超電導磁気方式で運用する。そして、建設は2段階方式で行うとしています。効果として、三大都市圏を短時間で結ぶことにより日本の経済活性化に寄与するとともに、中間駅ができる地方も産業や観光などで地域経済の振興につながると説明しています。

まず、現在JR東海が進めている東海道新幹線の改修について、安全対策や運行上どの程度経年劣化が防げる見通しなのか、回答ください。バイパスとして機能できる交通施設として、東名高速道路や第二東名、中央道があり、並行した鉄道施設はそもそも必要ないと考えます。それでも鉄道が必要なら、貨物輸送に適さず、在来の新幹線との乗り入れができないリニア新幹線を選定するよりも、中央線や飯田線、北陸線などを在来型新幹線使用にすれば、その方がむしろ災害時の代替路線の役割を十分果たせるのではないでしょうか。それでも、国土交通省は全国新幹線鉄道整備法の趣旨に合致しないリニア新幹線を推進する方針ですか、回答して下さい。

 

2.リニア新幹線の採算性について

JR東海の山田佳臣前社長は昨年10月の記者会見で、リニアが実現しても採算はとれないと明言し、メディアや国民を驚かせました。リニア単独では赤字だが、東海道新幹線の収益をもってすれば、健全経営と安定配当を維持しつつ、所定の利益を上げることができるとの趣旨のようですが、一方で、リニアが供用になれば、利用者の乗り移りにより東海道新幹線が赤字になると、JR東海の葛西名誉会長は25年前に発言しています。日本社会は急激に少子高齢化が進み、2050年には人口が1億人を切り、リニア新幹線が利用を見込むの生産人口も昨年8,000万人台を切って、リニア新幹線の東京・名古屋間が開業する予定の2027年にはさらに1千700万人も減少すると言われています。私たちは、リニアと東海道の両新幹線が共に赤字になり、5兆円もの借入金返済の負担も重なって、JR東海の経営が立ち行かなくなる可能性もありうると考えます。また、リニア建設中に経営上の問題が生じた場合、工事を中断するとJR東海は説明しています。そうした場合、国が財政支援として国費を投入するのではないかと懸念しています。国土交通省は、JR東海のリニア新幹線建設は妥当な経営見通しの上に立って進められると考えますか、回答をお願いします。

 

3.国費(税金)の投入について

リニア新幹線建設について、JR東海は他の整備新幹線と同様、不動産取得税と免許登録税は免除されると説明しています。まず、その法的な根拠について教えてください。JR東海の全額自己負担で建設することで整備新幹線として事業認可された経緯があり、国が3分の2、地方公共団体が3分の1を負担するというこれまでの整備新幹線と同様の扱いにするのは妥当とは言えません。また、当初の2段階方式でのリニア計画について、名古屋・大阪間の同時開業を求める声が与党内や名古屋以西の期成同盟会から上がっており、その際は国が財政支援すべきであると主張しています。全額自己負担、2段階方式による建設が整備新幹線としての事業認可の前提条件であり、もし同時開業、その際の国の財政支援となれば、国民に対する裏切り行為です。現在もJR東海は全額自己負担、2段階方式で建設する姿勢と伝えられていますが、国土交通省として財政支援を行う考えがあるのか、無いのか、回答ください。

 

4.リニアによる地方の振興効果について

リニア新幹線の効果として地方経済の振興が挙げられ、各県の期成同盟会はリニアの経済効果を誇大に宣伝しています。リニア新幹線の目的は3大都市を直達で結ぶことであり、中間駅への停車は1時間に1本となるのが確実です。現在、地方は高齢化と若年世代の大都市への移住により、自治体の半数以上が消滅の危機を迎えると言われています。リニア新幹線は、地方居住者、とりわけ生産労働者の東京集中が加速し、人口の半数以上が首都圏に居住する「極点社会」の到来も近いとさえ言われています。「リニアによって沿線地域が東京などの郊外になり、通勤や買い物にも便利になる」と推進側は言いますが、利用料金の髙いリニアではなく、休日割引もある高速道路を利用する人が増えると考えるのが妥当です。国土交通省として、リニア新幹線がどのように沿線地域の振興に役立つと考えるのか、回答ください。

 

5.建設発生土(工事残土)の処理について

リニア新幹線の建設工事は着工から10年以上の長きにわたります。東京から名古屋まで286kmのルートのうち246キロがトンネルです。また、約5kmおきに直径30mの非常口が47箇所つくられ、山岳部のトンネルからは長い斜坑が掘られます。これら工事により排出される建設発生土は6,350㎥と言われています。排出される工事残土の置き場(処分地)について、山梨県1箇所と静岡県7箇所の立地場所が明らかにされていますが、その他の場所は全く特定されていません。処理方法についても、JR東海の他事業とか、農地や宅地造成に使用するなどの方法により90%以上を再利用すると評価書に記載されていますが、具体的な処分先や方法は自治体と協議して行くという計画だけでは、到底、沿線住民の理解も納得も得られません。環境大臣も意見の中で、発生土置き場について、「自然植生、湿地、稀少動植物の生息地や、近傍河川の汚濁のおそれがある区域、また、住民の生活の場から見えない場所を設定するよう」配慮を求めています。すでに、大井川源流部に設置場所が特定されている7カ所について、このような配慮がなされているとは言えません。リニア新幹線の建設は実施することが最大唯一の目的で、自然環境や住民生活への配慮が二の次、三の次になっているとしか思えません。国交省として、民間鉄道会社の事業であるとの認識ではなく、整備新幹線という国策の一環として位置づけているなら、工事残土処理という重大な課題について、厳しく指導・監督する責任があると考えます。JR東海の、建設発生土に係る環境保全措置について、どう考えているのか、回答ください。

特に、静岡市長・県知事が求めた「山体崩壊」の可能性から扇沢の工事残土処理場所の回避についてどのように考えているのか、お答えください。

 

6.工事計画の変更について

各県知事から、沿線住民の切実な声を受け、評価書のさまざまな項目で、至極もっともな理由を挙げて、環境調査の追加や工事車両の走行ルートの変更、鉄道関連施設の立地場所の変更を求める意見が出されています。3年前の環境影響配慮書の段階から、計画の変更を求める首長意見も出されていません。こうした要望について、JR東海は変更しないとの姿勢をとり続けています。国土交通省として、工事計画の変更についてJR東海を指導すべきと考えますが、回答ください。

 

7.南アルプスエコパーク申請への影響について

山梨県、長野県、静岡県の10市町村は、南アルプスを生物圏保全地域としてユネスコエコパークの登録を進めています。環境大臣意見でも、リニアの工事による自然環境への重大な影響、景観破壊などについて強い危惧を持っていることを表明しています。南アルプスは、すでに世界自然遺産となっている白神山地や屋久島と並ぶ、いやそれ以上の世界に誇れる豊かな自然に恵まれています。地形を改変し、自然環境への影響が懸念されるリニア新幹線建設のような大規模土木事業を行ってはならない地域と考えます。国土交通省として、このままリニアを建設しても、エコパーク登録への影響は無いと考えるのか、回答ください。

 

8.地震対策、避難対策について

JR東海は、「地下トンネルだから地震には強い」、「NATM工法と、岩盤に打ち込むロックボルトにより、岩盤とトンネルが密着するので、地震が起きてもトンネルは壊れない」と説明していますが、それは思い込みに過ぎないのではないでしょうか。大規模な直下型地震が起きた場合はどうなのか、その検証はどのように行われたのか、そのことは一切説明されていません。南アルプス自体、地層が複雑に重なり合い、隆起活動も止んでいません。また、リニア新幹線は、地震が発生しやすい活断層をいくつも横切ることになります。安全対策も無いに等しいと言っていいほどです。どのような事故が想定されるのかも避難対策も立てられていません。車外に脱出して、都市部トンネルでは下部通路を通って非常口まで歩き、山岳部トンネルでは下部通路が無いため、軌道脇を歩いて斜坑までたどり着き、そこからまた長い距離を歩いて非常口から避難するとしています。あまりにも杜撰です。なぜ、救急車両などが走行できる避難通路をトンネル内につくらないのか理解できません。国土交通省は、JR東海の地震対策、避難対策についてどう考えているのか、回答ください。

9.磁界について

超電導磁気浮上方式で心配なのは、強力な磁界の発生です。過大な電力を供給するリニアは、車両積載の超電導コイルとガイドウエイの誘導コイルの作用によって強い磁場を発生させ、人体に有害な電磁波を放射します。車両内も駅構内も厳重に遮蔽するシールドで覆われていることからもそのことは明らかである。JR東海はICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインを大幅に下回っているという山梨実験線での計測データを明らかにしていますが、ガイドラインが厳しくなる高い周波数帯の計測データは公表していません。また、実験線で時間をかけた疫学的な検証が行われたとの説明もありません。私たちは、このような実証データの公開を求めますが、国土交通省はJR東海の説明で利用者や沿線住民が納得すると考えますか、回答ください。

 

10.大深度地下使用について

リニア新幹線の着工認可が下されれば、JR東海は東京都(1市3区)、神奈川県川崎市、愛知県春日井市、名古屋市の大深度地下の使用認可申請を行うとされています。認可を受け、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法が適用された場合、地上権が及ばないとした大深度地下を関係住民の了解も補償も無く掘ることになり、掘削工事は24時間行われるとJR東海は説明しています。JR東海から大深度地下使用の申請が出された場合、国土交通省では、誰がどのくらいの時間をかけて、またどのような形で審査し、判断を下すのですか、回答ください。また、関係住民らが大深度地下使用について意見を言う機会はどのように保証されるのか、回答ください。

 

11.工事による地下水の湧出、枯渇について

都市部及び山岳部の延べ246kmのトンネル工事、及び47カ所の非常口工事が地下水に与える影響について、知事意見は強い危惧を示しており、また環境大臣意見も「地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれに伴い生じる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、事後的な対応措置は困難である」と事実上の追加措置を意見しました。大井川など一級河川管理者として、又、トンネル工事など技術監督者としてどのように対応されるのか、お答えください。

特に、静岡県知事が求めた大井川流域の7市2町の水道用水、農業用水などに影響する毎秒2tの水量が減少するメカニズムの解明は「環境省の追加措置」で可能となるのか、解明された場合の「恒久対策」については何を想定されているのか、お答えください。

以 上

 

 

2014年6月  日

 

リニア新幹線沿線住民ネットワーク

共同代表 天野捷一、片桐晴夫、川村晃生、原 重雄

リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会

リニア新幹線を考える相模原連絡会

リニア・市民ネット山梨

NO!リニア連絡会(大鹿村)

飯田リニアを考える会

東濃リニアを考える会

リニア・市民ネット東京

南アルプス・リニア市民ネット静岡

リニアを問う愛知市民ネット