- 投稿日:2024年07月07日
- カテゴリ:声を上げよう
A.Niwaさんが7月7日、 小牧脱原発パレードでスピーチしました。
貨幣全般の価値が下がっている
6月5日、アメリカの半導体メーカーエヌビディアの株価時価総額が3兆ドル、470兆円を超えました。一つの会社の株価が日本のGDPの8割の価値があると市場が認めたということです。マイクロソフトやアップルの時価総額も3兆ドルを超えています。一見景気が良いように見えますが、アメリカは借金も膨らんでいます。日本では円安が進みドルの価値が上がっているように見えますが、そうではありません。世界的なインフレのなか、実はドルの価値も下がっているのです。貨幣全般の価値が下がっています。そうしたなか、一所懸命ドルを買い支えているのは日本だけです。アメリカは資産バブルではないかという人もいます。エヌビディアの株価は何を意味するのでしょうか。
AIが株価を押し上げている
半導体を顕微鏡で拡大すると電子回路を模様としてみることができます。単純な同じ模様が繰り返されているのがメモリー回路、複雑な模様となってみえるのが論理回路です。論理回路の設計はアメリカ企業の独占市場です。エヌビディアはパソコンに組み込まれた論理回路であるCPUよりもワンランク上のGPUというゲーム用半導体の設計メーカーでした。このGPUをAIに使ってみたところ性能が飛躍的に向上したということで、AIの急成長によりエヌビディアの株価はわずか1年半で7倍に跳ね上がりました。
「日の丸半導体」は二匹目のドジョウを狙う
このアメリカが設計する半導体の製造を引き受けているのが台湾のTSMCであり、日本は「日の丸半導体」を掲げ、二匹目のドジョウを狙っているわけです。しかし、AIは人間から仕事を奪うだけではありません。大量のエネルギーを消費し、地球環境を破壊するものです。北海道に建設されるラピダスの半導体工場は消費電力が60万kW以上。これは北海道の全消費電力の1割から2割に相当し、北海道電力の社長は泊原発の再稼働をラピダスに間に合わせたいと言っています。
このままでは「AIの奴隷」
新聞報道によれば、新たな「エネルギー基本計画」の改定にあたり、経産省は原発の新増設を認める方針です。この狭い日本列島のいったいどこに新たな原発をつくる場所があるでしょうか。AIに電力を供給するために原発を新増設させねばならないとしたら、これほど情けないことはありません。欲望のままにアクセルを吹かすだけのまったく知恵と工夫のない選択です。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは農耕により人類は「小麦の奴隷」となったというユニークな説を提唱していますが、このままでは私たちは文字通り「AIの奴隷」となってしまいます。
パワーバランスの上の平和ではなく、信頼に基づく平和を
さて、ウクライナの戦争は終わるどころか、拡大の危機にあります。5月28日、フランスのマクロン大統領は訪問先のドイツで、フランスがウクライナに供与した長距離ミサイルをロシア領内の軍事拠点の攻撃に使用することを認めると明言しました。さらに6月6日、バイデン大統領は国境近くのロシア領内を攻撃することは許可するが、モスクワを攻撃することは認めないと発言しています。これに対しロシア国防省は11日、5月下旬から行っていた戦術核兵器演習に加え、核の「実戦使用」を想定した訓練を行うと発表しました。9日、ヨーロッパでは欧州議会選挙が行われ、保守・右派政党が躍進しました。戦争に反対する世論が優ったということです。
13日から16日にかけて、イタリアとスイスでG7会議と平和サミット会議が行われました。しかし、平和サミットにロシアと中国は出席しませんでした。さらにインド、サウジアラビア、南アフリカ、インドネシア、メキシコなどは平和サミットの共同声明に署名しませんでした。
世界の指導者には軍事圧力・パワーバランスの上に築かれた目先の平和ではなく、信頼に基づく平和を追求してもらいたいものです。
人類の歴史において、これほどの危機はない
みなさん、覚えていますか。ベトナム戦争当時、ベトナムの指導者ホーチミンは、アメリカ軍がベトナムから出て行ってくれるだけで良い。アメリカ兵に恨みはない。アメリカ兵はアメリカ帝国主義の犠牲者である、と言っていました。戦争が終われば平和な世界がくることを誰もが容易に想像することができました。
ところが、ウクライナとガザの戦争は、終わりが見えないどころか、戦争が終わった後の平和な世界を想像することすらできません。人類の歴史において、これほどの危機はありません。
解決策は足下にある
私たちの日常のなかに、多くの危機が複雑に重なりからみあっています。戦争による平和の危機、温暖化による気候危機、人口減少による労働力不足・経済危機、そして食糧のインフレと生活の危機です。
世界の指導者は軍事力、経済成長、AIといった科学技術にすがることにより解決策を得ようとしています。しかし、科学技術に手を合わせ、お祈りをしても何も出て来ません。これらは解決策にならないどころか、いま地球環境を破壊しているのは、私たちがこれまで信じてきた科学技術です。
解決策は私たちの足下にあります。原発を止め、核兵器を廃絶し、食糧を生産する。これこそ真の解決策です。
被害が生じてからでは遅い
さて、安保法制違憲訴訟の裁判ですが、各地で行われていた裁判は地裁においてことごとく敗訴し、名古屋では控訴審が始まりました。これまでの判決において、司法は私たちに「平和的生存権」はない。そして憲法判断をする必要がないといっています。しかしながら、人権というものの歴史を考えると、私たちの人権は与えてもらったものではありません。それは勝ち取ったものです。「平和的生存権」がないというならば、これを勝ち取るまでです。
7月3日最高裁は旧優生保護法について、13条・個人の尊厳、14条・法の下の平等に反し「立法時点で違憲だった」という判決を言い渡しました。
人間の尊厳を踏みにじり、憲法違反の法律を49年間ものあいだ放置しておいて、被害が生じてからでは遅い。まして戦争となれば、謝罪や賠償など何の役にも立ちません。
安保法制に対しても勇気ある違憲判決を期待します。原発を止め、核兵器を廃絶し、食糧の生産を求める私たちの運動は「平和的生存権」につながる闘いです。
自民党はすくいようがない
6月6日、政治資金規正法の改正案、別名裏金維持法が自公、維新の賛成多数で衆院を通過し、18日、参院において与党の賛成多数で可決しました。パーティー券の基準額を20万円から5万円に下げ、政策活動費はそのまま、10年後に領収書を公開するというものです。自民党内からも批判が出ていますが、パーティ収入を存続させておいて、支持率が下がると文句を言う。自民党はすくいようがありません。
みなさん、覚えていますか。ロッキード事件の時、河野洋平氏の新自由クラブ。リクルート事件の時、小沢一郎氏の自由党。バブル崩壊と金融危機の時「自民党をぶっ壊す」と言った小泉政権。危機に瀕するたびに自民党内部から何とかしようとする「かけ声」が聞こえてきたものです。ところが、今回は文句ばかりで何とかしようとする「かけ声」すら聞こえてきません。
アメリカに従属し、政治を家業とする世襲政治家に日本を立て直す力はありません。
原発の末路は二通り、事故か廃炉か、壊れるか壊すか、壊れる前に壊す。必ず廃炉にできます。