- 投稿日:2017年06月27日
- カテゴリ:持続可能な未来のために
6月10日、講師は青木秀和さん。2月、3月に続く第3弾の講義です。
脱成長について理解できました。そんな時代の社会保障について考えました。今回は、ベーシックインカムについて学びました。その報告をします。(文責:尾形慶子)
ベーシックインカムとは
政府が国民の生活を最低限保障するため、年齢・性別・障がいの有無等に関係なく、一律で現金を給付する仕組みのことです。
4月に開催された緑の党世界大会でも、ベーシックインカムの分科会がありました。
韓国ソウル大学の研究員June Choさんが、ベーシックインカムの実験をやった国々の結果など報告しました。
あまつのりと氏の「ベーシック・インカムで日本創生: あなたが変われば日本も変わる」 Kindle版を参照しました。
現在の「生活保護」制度は問題があります
・本来、受けるべき人が保護を受けていない。捕捉率が低い。役所の担当者の裁量で受給可否を決められ、窓口で水際作戦と言われる申請拒否が行われる。
・受給までに多くの審査コストが掛かる。
・働いて賃金をもらうと受給額が減るので、働く意欲がなくなる。
・貧困ビジネスの温床になっている。
ベーシックインカムの本質的な目的は、いろいろな抑圧からの開放
・貧困対策
・伝統工芸と農林水産業の従事者が増える
・経済を活性化する。内需拡大、デフレ脱却
でも、新自由主義的なベーシックインカムもあります
・個人主義。ベーシックインカムを与えたら、あとどう使おうと個人の責任。
・財源までユニバーサリズム、一律にする?所得1億円の人も、100万円の人も一律20%の税金?
世界では、ベーシックインカムを実験しています
・ノルウェー緑の党から大統領選に出馬。もし当選したら、世界で始めて国家がベーシックインカムを導入するかもしれません。
ベーシックインカムは財源がないと始まりません
・日本国民全員が月7万円もらうとすると年間106兆円必要。
・社会保障給付額の合計は112兆円。老齢年金・介護保険54兆円、児童手当5兆円、生活保護3兆円、失業保険1兆円、これらをすべてやめるなら足りる?ただし社会保険をやめると保険料収入が減り、その分税収が足りなくなる。
若干のまとめ
・富裕層への課税を重くする所得税制の改革と組み合わせなければ、格差是正にはならない。
・福祉国家の成立が前提。国家が十分、生存を保障した上でないと成り立たない。月7万円では障がい者など弱者には足りず、生存を保障できない。
すべての人の生活が保障され、尊厳ある人生を送るまでには遠い道のりがあることが分かりました。