緑の党・東海

政治塾

定常型社会を学ぼう~広井良典 編

現在、人類が向かっている定常型社会とは何か?水野和夫氏・広井良典氏の著書を読む読書会を、9月2日に開きました。メンバーが要旨を報告しまし、ディスカッションしました。

広井良典氏の「ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来」(岩波新書、2015年)

「定常型社会―新しい『豊かさ』の構想」(岩波新書、2001年)

を栗原茜さんが紹介しました。

まず「定常型社会『豊かさ』の構想」の説明スライドを抜粋します。現在の社会は、従来の所得と資源の配分をめぐる大きな政府か小さな政府かの対立軸に、環境の有限性を考えた成長か定常志向かという縦軸が加わったととらえられ、持続可能な福祉社会は図の赤枠に位置づけられると考えられる。
日本の社会保障は、年金比重が大という特徴がある。これからは、①医療福祉に重点②ライフサイクルに対応した保障とするべきだ。財源は、消費税、相続税、環境税の順で考える。

ナショナル(国)レベルの環境と福祉の両立:環境税を環境対策でなく社会保障の財源(例;企業の社会保険負担)にするというような、エコロジカルな税制改革。

 

ローカルレベルの環境と福祉の両立:地域の特性等を生かそう。情報化のおかげで情報過疎地はなくなってきている。

 

グローバルレベルの環境と福祉の両立:経済がグローバル化しているから、超国家的な社会保障が必要。EUをモデルに学ぼう。

 

 

量的な拡大を目標としない!目からウロコが落ちますね!

定常型社会がだいたい分かってきたところで、次に「ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来」を紹介するスライドから何枚か抜粋します。

人類の歴史の中で、人口や経済規模が定常化した期間に、宗教など精神の大きな展開が起こった。

 

資本主義とは、限りない成長を求めるシステム。

 

もう拡大すべきフロンティアはなくなった。そこで求めた新しいフロンティアが金融(電脳)資本主義。金融資本主義は期待を搾取し、意識を無限に広げた。貨幣現象はバブルだ。

 

緑の福祉国家を目指そう。過剰の抑制のため、時間政策を考えよう。労働への課税から、環境負荷への課税にシフトしよう

 

新しいセーフティネットが必要。教育に投資して、子どもの機会を平等にする。資産への課税を強化する。コミュニティを活性化する。

 

定常化・ポスト金融化・情報化の時代は、地域で循環する経済が重要だ。

 

環境パフォーマンスの高い国は、格差が小さい。

 

自然や環境は超長期的に見なければいけない。地球的な倫理:それぞれの地域の多様性を尊重しつつ地球全体を考える。

定常化社会では、どんなことをしないといけないか、どんな可能性があるか、希望が湧いてきましたね。緑の党・東海では、広井良典さんを招いて講演会を開きたいと計画しています。乞うご期待!