緑の党・東海

脱原発アクション

高市政権:「できるものなら、やってみろ」というほかない

A.Niwaさんが11月2日に、小牧脱原発パレードにてスピーチしました。

石破首相の「戦後80年所感」

10月10日、石破首相は「戦後80年の所感」を発表しました。なぜあの戦争を避けることができなかったのか。80年の節目に国民とともに考えたいとして、憲法、政府、議会、メディアについて語りました。

その内容を要約すれば、大日本帝国憲法には文民統制(シビリアン・コントロール)がなく、天皇の軍隊指揮権である統帥権が憲法から切り離され独立していた。政府は政党間の争いのなか軍部を利用し、結果として統帥権を肥大化させ、軍部を暴走させることになった。議会は役目を果たさず、膨張する軍事予算を素通ししてしまった。その背景には5.15、2.26といった政治家を標的とするテロ行為があった。メディアは戦争報道が新聞の売り上げを伸ばすということで、戦争を煽ってしまった、ということになります。

今日への教訓

そして、今日への教訓として、「政府が誤った判断をせぬよう、歯止めの役割を果たすのが議会とメディアです。国会には、憲法によって与えられた権能を行使することを通じて、政府の活動を適切にチェックする役割を果たすことが求められます。政治は一時的な世論に迎合し、人気取り政策に動いて国益を損なうような党利党略と己の保身に走っては決してなりません。使命感を持ったジャーナリズムを含む健全な言論空間が必要です。先の大戦でも、メディアが世論を煽り、国民を無謀な戦争に誘導する結果となりました。過度な商業主義に陥ってはならず、偏狭なナショナリズム、差別や排外主義を許してはなりません」と述べています。しかしながら、言っていることとやっていることの整合性がとれていません。

言っていることとやっていることの整合性がない

メディアは報道しませんが、10月20日から31日にかけて沖縄・西日本を中心に自衛隊の大規模実動演習が行われました。自衛隊約52,300名、米軍約5,900名、豪軍約230名という過去最大規模の演習です。軍事施設のみならず空港、港湾などの民間施設まで利用し展開されました。さらに来日し10月28日、高市首相と会談したトランプ大統領は「戦闘機やミサイルなど新規の大量の兵器を注文してもらって感謝している」と述べました。政府は、中国を仮想敵国とし「台湾有事」を想定した実践演習を行いながら、国会のチェックがないままに大量の兵器を購入しようとしています。戦争準備に他なりません。

戦前の誤りを繰り返そうとしているようにしか見えない

石破首相が所感で語ったように、本当にそのように考えるのであれば、政府は「台湾有事」など国民の不安を煽ることを止め、米軍と自衛隊との軍事演習ではなく、外交努力に尽力すべきです。議会は膨れ上がった軍事費をチェックし、平和憲法に基づき安保法制を廃止すべきです。メディアに対し言うことを聞かない報道の電波を止めるなど以ての外、石破首相の「平和国家としての礎が一層強化される」という言葉とは裏腹に、これまでの自公政権による政治は戦前の誤りを繰り返そうとしているようにしか見えません。

公明党に注目

同じ日、かつて「電波停止」発言をし、報道の自由に対する介入であると批判された高市自民党総裁に対し、公明党は連立の解消を伝えました。斎藤鉄夫代表は公明党が「存亡の危機」にあると語っていますが、これは公明党の支持者の不満が公明党の指導者を動かした結果です。今後、公明党が平和の党という看板を取り戻すか。その動向が注目されます。

藁をもすがる連立

国民民主に連立を打診し断られた高市自民党総裁は、10月16日、維新と連立を見据えた協議を行い、19日、維新は自民党との連立に合意しました。政治献金やパーティ収入は棚上げにして、副首都構想と議員定数の削減を提案しています。副首都構想とは2015年と2020年の住民投票で否決・廃案となった大阪都構想の焼き直しです。定数削減は少数意見の切り捨てにつながるものです。少数与党となった自民党と一時の勢いを失った維新の「藁をもすがる」という思いがにじむ連立です。

「できるものなら、やってみろ」というほかない

10月21日、高市政権が発足しました。岸田政権において閣議決定された安保3文書により、2027年までに軍事費をGDPの2%に倍増する方針が示されましたが、これに対し高市政権は発足早々、安保3文書を改訂し、軍事費倍増を2年前倒しし、今年度中に達成すると公表しました。しかし、そのようなカネはどこにもありません。物価高対策と軍事費倍増は二律背反、両立させることは不可能です。24日の所信表明では、言うだけタダと言わんばかりに、脱炭素政策として次世代革新炉、フージョンエネルギー(核融合)にも言及しています。これはもう「できるものなら、やってみろ」というほかありません。

かつての自民党の強さはない

自民党の強さの秘密は護憲から改憲まで多様な価値観をもつ柔軟性と周りの野党を取り込む包摂性にあったと思います。ところが福島第一原発事故が起き、第二次安倍政権が誕生し、安保法制を強行成立させ、軍備を増強、日米同盟を強化してきました。一強政治といわれるなか、自民党内においても異なる意見を封じてしまったのです。結果として、自民党の柔軟性と包摂性は失われました。「もう一度日本を天辺に」という強気な言葉とは裏腹に、高市政権にかつての自民党の強さはありません。今後の注目点は、自民党がどのように分裂していくか。そして参政党がどのように自民党に近づいていくかです。

ガザの戦争は終わっていない

さて10月8日、トランプ大統領はイスラエルとハマスが「和平案の第一段階に合意した」、「戦争は終わった」と発表しました。イスラエルの国内世論は「もう戦争をする必要はない」という意見が大半です。ところが19日、イスラエル軍は、ガザ南部でハマスによる攻撃があったとして空爆を行いました。さらに28から29日にかけて、イスラエル軍は再びガザを攻撃、子供46人を含む104人が死にました。今後もネタニヤフがいちゃもんをつけ、攻撃を再開する可能性は充分あります。戦争は終わっていません。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によれば、ガザでは5歳未満の子供5 万4千人が急性栄養失調に陥っています。食料は何よりも大切な安全保障であり、武器に優る武器です。ガザの復興は食糧支援から始めねばなりません。武力が一掃され飢餓がなくなるまで、ガザに平和はありません。

国債協調を否定するトランプにはイグノーベル賞がお似合い

10月12日、トランプ大統領は、ウクライナへの長距離巡航ミサイル、トマホークの供与を示唆しました。そして17日、ゼレンスキー大統領はトランプ大統領と会談し、トマフォークの供与を求めましたが、一転断られてしまいました。トランプは、「ウクライナは負けているのだから、ロシアの停戦条件を受け入れるべきだ」と語っています。

さらに15日、トランプは「ベネズエラが刑務所を解放し、犯罪者を米国に送り込んでいる」、「ベネズエラから大量の麻薬が流れ込んでいる」と主張し、CIAにベネズエラにおける秘密作戦の実施を許可したと述べました。秘密作戦とはベネズエラのマドゥロ政権の転覆です。みなさんのなかには1973年、CIAの支援を受けたピノチェト将軍のクーデターによって倒された南米チリのアジェンデ政権を思い出す人もいるかもしれません。ベネズエラのマドゥロ大統領は反米左派の独裁者ですが、「戦争はダメだ。平和を。私の言うことを聞いてくれ」と言ったそうです。亡命を希望しアメリカが却下したという報道まであります。

そして30日、トランプは核実験の再開を宣言しました。相手を武力など力で脅し、譲歩を引き出し、屈服させるという政治は、私たちが近代に築いてきた国際協調という価値観を否定するものです。核兵器と原発が存在する現代において、このような政治は極めて危険、野蛮そのものです。歴史を振り返ると、武力や力を背景に各国が国益を追求した結果として、戦争が起きています。一歩間違えば大惨事、命取りになりかねません。一国の利益だけでなく、経済的に互いに依存しあいながら、相互協力により平和を構築する。それが国際協調主義です。トランプ関税など経済のブロック化は国際協調主義とは相容れないものです。1996年、フランスのシラク大統領は地下核実験を行いイグノーベル賞を受賞していますが、トランプにはイグノーベル賞がお似合いです。

トランプの狙いはベネズエラの資源

ちなみに、今年のノーベル平和賞は、ベネズエラのマドゥロ政権打倒のクーデターを何度も画策した極右活動家であるマリア・コリーナ・マチャド氏に与えられました。パブロ・イグレシアス元スペイン副首相は「ヒトラーに賞を与えるようなものである」と受賞を批判しています。これに対しマチャド氏は「平和賞をベネズエラ国民とドナルド・トランプ大統領に捧げると」語ったそうです。トランプの狙いはベネズエラの原油、天然ガス、そして金鉱山です。ベネズエラがウクライナ、ガザに続く戦場にならないことを願うのみです。

再稼働の是非は県民が決める

さて、原発ですが10月16日、東電は新潟県議会において、新潟県に一千億円の資金拠出をすると説明しました。傍聴席からは「カネで解決するのか」という反発の声が飛び交い、新潟県庁前では約150人の市民が「再稼働の是非は私たち県民が決める」と批判の声を上げました。

原発の末路は二通り、事故か廃炉か、壊れるか壊すか、壊れる前に壊す。必ず廃炉にできます。