- 投稿日:2019年02月15日
- カテゴリ:声を上げよう
2015年に成立した安保法制は、集団的自衛権の行使を容認するものであり、憲法9条に違反します。それを明らかにする訴訟が全国各地で起こされていますが、名古屋地裁にも提訴されており、2月15日に第2回口頭弁論が行われました。それに先立って、安保法制違憲訴訟の会あいちが主催した学習会を、緑の党の会員A.Niwaが報告しました。
安保法制違憲訴訟学習会
2019年2月4日、名古屋学院大学教授飯島滋明さんを講師に招き学習会がありました。平日の夕方にもかかわらず、60名以上の参加者がありました。
下澤悦夫原告共同代表の挨拶の後「安保法制下での自衛隊の実態」と題する講演がありました。
安倍政権のもと自衛隊はアメリカ軍の一部となりつつある
安保法制により日本が平和主義を捨て、自衛隊がアメリカ軍の一部になりつつある。イギリスのタイムズ紙は「Japanese soldiers get right to fight abroad」(日本の兵士たちは海外で戦う権利を得る)と報じていた。安保法制はまさにアメリカ軍のための法律である。最近の状況より冷戦下でのソ連のほうが軍事的脅威が高いことを考えれば、「安保法制」制定や「憲法改正」など、安倍自公政権による「戦争できる国づくり」の理由を日本を取り巻く安全保障環境の変化に帰すことは不可能である。
自衛隊は旧日本軍と違うと言えるのか
安倍自公政権のもと、自衛隊の訓練内容はより実践的なものとなり、至近距離射撃や市街地戦闘訓練、自衛隊員に遺書を書かせること等が行われている。防衛省は2012年、石垣島奪回に際して多くの自衛官の犠牲を前提とした軍事作戦が想定され、それが2013年の「防衛計画の大綱」に反映された。その作戦では国民保護が度外視されていたが、こうした自衛隊は国民を犠牲にした旧日本軍と違うと言えるのか。さらに安倍自公政権となってから軍事費が跳ね上がり、「31中期防」(2019~23年度の兵器調達計画)では27兆4700億円もの予算が費やされる。
安保法制違憲訴訟の意義
安倍自公政権の「戦争できる国づくり」の動きに対して、「安保法制違憲訴訟」に代表される市民の反対運動の影響は大きい。「安保法制違憲訴訟」などの反対の動きのため、安倍自公政権も9条2項削除のような改憲は無理と考え、9条に自衛隊を明記するという、ある意味で中途半端な改憲案を出さざるを得なくなった。デモや集会、学習会を重ねること、市民運動やNGO活動の意義は大きい。「国連憲章」「世界人権宣言」「核兵器禁止条約」においてもNGOは大きな役割を果たした。2016年12月19日、国連総会では「平和への権利宣言」が採択された。「平和への権利」は法的拘束力のない「宣言」に過ぎないが、今後、「平和への権利宣言」を法的拘束力のある条約にすることが目指される。私たちの活動はその一助となる。安保法制違憲訴訟は世界の平和構築にも貢献する裁判である。
講演の後、参加者による多くの積極的な発言がありました。印象に残ったものを紹介します。
・自衛隊内では訓練だけでなく、隊員の教育も変化してきている。政治的には自民党に投票するように隊員は教育される。
・守山自衛隊では近頃、死者や負傷者を前提とした訓練が行われている。
・文民統制という言葉があるが、政治家か軍人かということではなく、私たち国民が自衛隊に対し主導権を握らねばならない。
・韓国によるレーダー照射が問題となっているが、安倍政権はこの問題を大きくし利用しようとしたのではないか。政治家が国民の敵対感情を煽るのは本末転倒である。